PF構造生物学ビームラインの現状
2005年1月20日
物質構造科学研究所放射光科学第2研究系
五十嵐教之、松垣直宏、山田悠介、平木雅彦
http://pfweis.kek.jp/~protein/
☆☆☆☆ ビームライントピックス(詳細は各項目を参照ください) ☆☆☆☆
直線部増強工事のため、来年3月から9月までPFリングはシャットダウンします。
新ビームライン、BL-17の設計作業が順調に進んでいます。
BL-18Bは本年2月に閉鎖します。
BL-5、NW12の結晶センタリングが迅速かつ簡便になりました。
BL-6Aのゴニオスタットの更新を計画しております。
結晶交換ロボットのテスト実験を開始します。
全ビームラインをカバーするNIS/NFS管理を開始します。
統合GUIの運用開始が遅れており、4月からの使用開始を予定しています。
ビームラインのホームページが新しくなりました。
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BL-5

  • BL-5の特徴は、MPWからの高強度のビームと大面積高速読み出しCCD検出器Q315(有効面積315mm平方、CCD検出器としては国内最大)による高速高分解能データ測定で、特に長い格子定数をもつ結晶からの回折データを精度よく高分解能の反射まで測定できます。読み出し速度はNW12のQ210と同じ1秒(dead time 2.5秒)です。また、回折計は回転芯ブレ精度1ミクロン以下の高精度の回転軸を備えていますので、微小結晶の測定にも対応しています。
  • 通常は一点コリメータとして使用しているサンプル直前のダブルスリットを、二点コリメータのように使用することができます。大きな結晶格子やカメラ長を長く(400mm以上)する場合には有効です。希望される方は、アライメント時にスタッフにお伝えください。
  • ゴニオメータの並進軸のモータをより高速なものに交換しました。
  • XAFS測定用のSSDの電源ON/OFFがモード変更と連動して自動で行われるようになりました。NW12と同様、電源の入れ忘れ(消し忘れ)などのケアレスミスを気にせず、簡便にXAFS測定が可能です。
  • センタリングソフトを少し改良して、任意の角度で結晶の位置を指定できるようになりました。これまでのように、固定の角度(0度、90度など)にわざわざ移動させる必要がありません。モータの高速化と合わせて、より迅速簡便なセンタリングが可能となっています。

BL-6A

  • 2005年夏のPFリングシャットダウンに合わせ、ゴニオスタットの改作を予定しています。NW12やBL-5で開発した、XYZステージ付き高精度高速回転軸及び高速シャッターの組み合わせにより、高精度データ測定が安定して行えるようになります。ユーザーインタフェースも尚一層共通化が図られ、ビームラインが変わっても違和感なく測定できるようになります。
  • BL-5と同様にセンタリングソフトが改善され、簡便なセンタリングが可能です。

BL-18B

  • BL-18Bは本年2月いっぱいで閉鎖します。2月28日朝9時をもって解体作業に入ります。長い間ありがとうございました。

BL-17

  • 2005年3月より新ビームライン、BL-17の建設作業を開始します。BL-17は、直線部増強計画で新たに作られる短直線部の一つであり、ミニポール(ミニギャップ)アンジュレータを設置できるようになります。PFリングの直線部増強工事(2005年9月まで)に合わせてビームラインの建設工事を行います。BL-17ではミニポールアンジュレータから得られる高輝度放射光を利用して、超微小結晶(ミクロンサイズ)の構造解析研究と低エネルギーX線(6.5keV付近)を利用した構造解析研究の二つにターゲットを絞った実験を行なう予定です。2006年4月からの共同利用開始を目指して建設作業を行う予定ですので、皆様のご理解ご協力をお願いいたします。

NW12

  • 分光器への熱負荷を軽減させるため、8keV近傍よりも低エネルギーのビームをアンジュレータの一次光のピークに合わせて実現するように変更しました。(従来は3次光)。エネルギー分解能の向上はもちろん、将来的にはフロントエンドのグラファイトフィルターを外すことが可能になるため、低エネルギーのビームの強度増大も期待できます。
  • ビームポジションの長時間ドリフトを軽減するために、分光器内にコンプトン散乱の遮蔽板を取り付けました。1−3月期で様子をみる予定です。
  • BL-5と同様に、センタリングソフト及びモータの回転速度が改善され、迅速簡便なセンタリングが可能です。

結晶交換ロボット

  • すでにご覧になられた方もいらっしゃると思いますが、BL-5およびNW12で結晶交換ロボットの開発を行っています。現在、ビームタイム以外の時間で動作チェックを行っており、今期、ビームタイムの一部を使っての調整を予定しています。2005年4月から、NW12でテスト運用を行う予定です。このロボットはスタンフォード放射光施設(SSRL)の協力の下で開発されたシステムですので、サンプルを格納するカセットおよび準備に必要なキットは同じものを使用することになります。現在、使用可能なループはハンプトン社製の汎用のもの(18mm)または相当品です。SSRLのロボットの概要は以下のホームページを参考にしてください。(http://smb.slac.stanford.edu/facilities/hardware/SAM/

計算機環境・ソフトウェア

  • BL5、BL6A、BL18B、NW12の回折データ保存ディスクを、どのビームラインからでもマウントできるよう、NFSを組みました。これは、全ビームラインが同じ高速LANに乗った効果の現れのひとつです。今年度中に、PF-AR北西棟実験ホール側室(NW12の側室)に計算機室を開設し、いつでも処理や解析ができる体制を整備する予定です(タンパク3000による支援)。同様のスペースは、新ビームラインBL17のデッキ上にも建設予定です。
  • 企業ユーザーの増加にともない、ユーザー認証のシステムの検討を始めています。現在のところNISによるユーザー認証を導入していますが、将来的にはよりセキュアで柔軟なLDAPによる管理を考えています。
  • データ処理ソフト、解析ソフトの見直し、アップグレード・バージョンアップ、ベータテストを行っています。
  • データベース型実験管理ソフトの開発が進んでいます。今年度中にコミッショニング実験を開始する予定です。
  • 上記実験管理ソフトとは別に、統合GUIの開発を進めています。これまで別々のソフトウェアで実現していた実験操作(結晶のセンタリング、XAFS測定、回折データ測定)を統合することが目的です。BL-5およびNW12では、ロボットによる結晶交換操作も統合される予定です。インターフェースが統一され実験操作がよりスムーズになるだけでなく、各操作間の連携も強化されます。例えばXAFS測定によって決定された波長は、回折データ測定の条件に自動的に渡されるなど、より簡便なMAD実験が可能となります。また、クライオループ中心への自動センタリング機能も含まれる予定です(計画が遅れ気味ですが、4月には公開予定)。

その他

  • 2005年3月から9月まで、直線部増強工事のためPFリングはシャットダウンします。PF-ARは稼働予定ですので、当該期間はNW12のみの運用となります。シャットダウン後は、BL-18Bを閉鎖し、新ビームラインBL-17を利用開始する予定です。現在BL-17のビームラインデザインを進めているところです。
  • タンパク3000(個別解析プログラム)ビームタイムのweb 予約システムの運用を行っております。次期ビームタイムでの運用開始は3月20日頃を予定しています。予約開始日程が決まり次第ホームページ、JPXTAL等で告知いたします。
  • 2005年1月よりビームラインのホームページのデザイン、内容を一新しました。これまで通りビームタイム配分表や申請書類のダウンロードが出来るほか、ビームラインの仕様も見ることが出来るので、PDB登録や論文投稿の際に活用していただけると思います。また、各ビームラインの操作マニュアルや、ビームラインスタッフからのお知らせとして、細かな装置の仕様の変更や、実験時の操作に関する注意点等を掲載していきます。PFに来る前には是非一度ホームページに目を通していただくことで、効率の良い実験計画を立てるお役にたてればと考えております。(http://pfweis.kek.jp/~protein