PF構造生物学ビームラインの現状

2005年7月7日
物質構造科学研究所放射光科学第2研究系
五十嵐教之、松垣直宏、山田悠介、平木雅彦
http://pfweis.kek.jp/~protein/

ビームライントピックス(詳細は各項目を参照ください)

  • 今秋はBL-6A,5A、NW12Aの3本の運用となります。
  • BL-5A、NW12Aでダブルスリットが利用できるようになります。
  • BL-6AのゴニオスタットをBL-5AやNW12Aと同様のシステムに更新します。
  • 新ビームライン、BL-17の設計作業が順調に進んでいます。
  • BL-18Bは本年2月に閉鎖しました。
  • NW12Aで6〜8 keVの低エネルギー領域のビーム強度が約2倍強くなりました。
  • 結晶交換ロボットのテスト実験を開始しています。
  • 統合化GUIを4月から運用開始しています。
  • PF-ARにデータ解析室がオープンしました。
  • ビームラインのホームページを更新中です。

 

BL-5A

  • BL-5の特徴は、MPWからの高強度のビームと大面積高速読み出しCCD検出器Q315(有効面積315mm平方、CCD検出器としては国内最大)による高速高分解能データ測定で、特に長い格子定数をもつ結晶からの回折データを精度よく高分解能の反射まで測定できます。読み出し速度はNW12のQ210と同じ1秒(dead time2.5秒)です。また、回折計は回転芯ブレ精度1ミクロン以下の高精度の回転軸を備えていますので、微小結晶の測定にも対応しています。
  • 通常は一点コリメータとして使用しているサンプル直前のダブルスリットを、二点コリメータのように使用することができます。大きな格子定数を持つ結晶の測定に有効です。ソフトウェアを改良して、ユーザーから自由にスリットをコントロールできるようにする予定です。

 

BL-6A

  • ゴニオスタットの改作を進めています。NW12やBL-5で開発した、XYZステージ付き高精度高速回転軸及び高速シャッターの組み合わせにより、高精度データ測定が安定して行えるようになります。ユーザーインタフェースも尚一層共通化が図られ、違うビームラインに行っても違和感なく測定できるようになります。8月後半の設置を予定していますので、設置され次第、装置概観をビームライン情報にアップしたいと思います。
  • CCDのオーバーホール及び制御システムの更新を行いました。真空レベルの不具合は解消されました。新しい制御システムは、BL-5AやNW12Aで使用されているQ315やQ210と同様のギガネットを利用したパラレル読み出しタイプとなり、読み出しの若干の高速化が図られると同時に、安定性も格段にアップしました。
  • 実験ハッチ2階にユーザー用の計算機用、休憩用のスペースを整備しています。今秋からは、実験ハッチ2階から実験監視やデータ処理ができるようになります。

 

BL-17A

  • 2005年3月より新ビームライン、BL-17Aの建設作業を開始しました。BL-17Aは、直線部増強計画で新たに作られる短直線部の一つであり、ミニポール(ミニギャップ)アンジュレータが設置されます。PFリングの直線部増強工事(2005年9月まで)に合わせてビームラインの建設工事を進めており、現在のところ作業は順調に進んでおります。BL-17ではミニポールアンジュレータから得られる高輝度放射光を利用して、超微小結晶(ミクロンサイズ)の構造解析研究低エネルギーX線(6.5keV付近)を利用した構造解析研究の二つにターゲットを絞った実験を行なう予定です。2006年4月からの共同利用開始を目指して建設作業を行う予定ですので、皆様のご理解ご協力をお願いいたします。建設状況はホームページに逐次アップしておりますので、ぜひご覧ください。(http://pfweis.kek.jp/~protein/BeamLine/BL17/photos_bl17.html

 

BL-18B

  • BL-18Bは本年2月いっぱいで閉鎖しました。現在ビームラインの再構築作業を進めており、今秋からは産業利用ビームラインとして再出発することになります。長年のご愛顧ありがとうございました。

 

NW12A

  • 分光器への熱負荷を軽減させるため、6.0から8.0keVの範囲のビームをアンジュレータの一次光のピークに合わせて実現するように変更しました(従来は3次光に合わせて実現)。これに伴い、フロントエンドのグラファイトフィルターを外すことが可能となり、この範囲でのビーム強度が最大2倍に増大しました。
  • サンプル直前にスリットユニットが追加され、ダブルスリット構成になりました。BL5と同様に、ビームのサイズおよび発散角を自由にコントロールできるようになる予定です。

 

結晶交換ロボット

  • BL-5AおよびAR-NW12Aで結晶交換ロボットの開発を行っています。2004年度末にAR-NW12Aで実際にタンパク質結晶を用いて実験を行いました。現在、2005年10月からの第2期テスト運用での成功率100%を目指して、ソフトウェアの改良を進めています。このロボットはスタンフォード放射光施設(SSRL)の協力の下、開発されていますので、サンプルを格納するカセットおよび準備に必要なキットは同じものを使用することになります。現在、使用可能なループはハンプトン社製の汎用のもの(18mm)または相当品です。

    参考:SSRL のロボットのページ http://smb.slac.stanford.edu/facilities/hardware/SAM/

 

計算機環境・ソフトウェア

  • 2005年4月より統合化GUIを導入しました。これまでの運用で発見されたバグ、及び実際に使用されたユーザーの方からいただいたご意見を元に、制御ルーチンの見直しや効率化、ユーザーインターフェースの改良等を行っています、今後も、さらに使いやすいGUIとなるよう開発を進めていきます。また、ループの自動センタリング機能も、成功率の向上と高速化を目指して開発を進めています。
  • 統合化GUIの導入とともにweb版の実験マニュアルを更新しました。ビームラインだけでなく研究室からも閲覧することができますので、ぜひ一度ご覧ください。ホームページのビームライン情報(http://pfweis.kek.jp/~protein/BeamLine/bl_info.html)からリンクされています。今後はトラブルシューティングなども盛り込み、更なる充実を図ります。
  • 統合GUIとは別にデータベース型実験管理ソフトの開発も進めております。2005年からは、PF構造生物グループのユーザーを対象にコミッショニングを開始しています。
  • ビームタイム終了後にもデータの解析やバックアップが出来る様、PF-AR北西棟地下にデータ解析室を設けました(http://pfweis.kek.jp/~protein/BeamLine/NW12/sokushitsu.html)。Linux PC4台、Windows PC2台が設置されており、ビームラインとは高速ネットワークで結ばれ、LDAP/NFS管理を行っているため、ビームラインと同じ環境で、データの解析、バックアップが可能になっています。同様の解析室をPF棟(BL-17A 2階)にも準備中で、今年度冬に運用開始の予定です。
  • データ処理ソフト、解析ソフトの見直し、アップグレード・バージョンアップ、ベータテストを行っています。

 

その他

  • 今秋のビームタイムは、8月11日のビームタイム配分委員会で決定されます。ビームタイム決定の連絡は、委員会で決定次第送付したいと思います。
  • ビームラインの呼称が決められ、それぞれBL-5A, BL-6A, BL-17A, NW12Aと呼ばれることになりました。
  • 20053月から9月まで、直線部増強工事のためPFリングはシャットダウンしております。ユーザーの皆様には大変ご迷惑をおかけしておりますが、今秋からはBL-5A, BL-6A, NW12Aの3本のビームラインでの運用となります。新ビームラインBL-17はコミッショニングを開始し、2006年春からの共同利用開始を目標にしております。
  • 2005年春からタンパク3000(個別解析プログラム)ビームタイムの予約方法が変更になりました。詳しくは(http://pfweis.kek.jp/protein/Tanpaku3000/reservation_system.html)をご覧ください。1st roundの希望調査は8月後半、2nd roundのweb 予約システムの運用開始は9月13日頃を予定しています。予約開始日程が決まり次第ホームページ、JPXTAL等で告知いたします。
  • 2005年1月よりビームラインの新しいホームページを運用しています。これまで通りビームタイム配分表や申請書類のダウンロードが出来るほか、ビームラインの仕様も見ることが出来るので、PDB登録や論文投稿の際に活用していただけると思います。また、各ビームラインの操作マニュアルや、ビームラインスタッフからのお知らせとして、細かな装置の仕様の変更や、実験時の操作に関する注意点等を掲載していきます。PFに来る前には是非一度ホームページに目を通していただくことで、効率の良い実験計画を立てるお役にたてればと考えております。(http://pfweis.kek,jp/~protein